最近各地の自治体で、所有者不明の土地や空き家が増えていることを知っていますか?
全国の不動産のうち20%以上が所有者不明の土地となっています。
所有者不明の土地は管理する人間がおらず、うっそうと生い茂った土地や、まるで幽霊屋敷のような建物となっていることが多いです。
この状況を改善するために、相続不動産の登記の義務化が始まるみたい。
うぇいくが気になったので調べてみたよ。

- なぜ不動産の登記が義務化されるの?
- 静かに時を待つ亡き父の別荘
- 相続登記を行うはずが・・・
- ほったらかすとどうなるの?
- 別荘は孫にまでやってくる
- 法改正で相続不動産の登記が義務づけられます。
- 相続不動産の登記の義務化
- おわりに
なぜ不動産の登記が義務化されるの?
不動産の登記の義務化が始まる理由ですが、簡単に言うと相続登記手続きをしない方がいるからです。
なぜ相続登記手続きをしないかを、簡単に相続を交えてお話しをします。
お父さんが亡くなった例でみてみましょう。
お父さんは老後ゆっくり過ごすための別荘を所有していました。
売買ができるような別荘ならば相続人が売却して現金化をしたり、遺産分割をするのですが、山林の中だったり田舎の一軒家で誰も買ってくれないような場所だと、ほったらかしとなることが多々あります。
プラスの財産(預金や証券)は喜んでみんなで協力(はたまた対立)しながら相続をするのですが、利用価値の無い財産はそれはもう押しつけあうかほったらかしとなり、誰もが目を背ける財産となります。
前述のような資産価値のない不動産は「負動産」とも呼ばれており、だれも相続手続をせず、ほったらかしとなり、お亡くなりになった方の名義のままとなります。
「建物は存在するけれど所有者は存在していない」まるで幽霊のような物件となってしまいます。
流動性が乏しいため売却も賃貸もできず、固定資産税や管理費用など負担ばかり強いられる不動産のこと
さらにその幽霊となった負動産は静かに、そしてある種の念をため込みながら、その時をじっと待っています。
その時とは・・・
静かに時を待つ亡き父の別荘
その時とは、別荘に何らかの問題が発生した時となります。
ここで相続の基本を抑えておきましょう。
先程の続きで、両親2人・子ども2人の家族の場合において、お父さんが亡くなった時を想定してみます。
相続人は妻・子2人となります。
お父さんは預金6,000万円と老後のための別荘を所有していました。
自宅などもあるだろうけど、ここでは割愛。
そこで、妻と子ども2人が相続をするのですが、
妻が2分の1(3,000万円)
子どもが残った2分の1を半分こ(1,500万円ずつ)
このように財産を分けることとなります。
お金だけはさっくりと分けっこできるね!
相続登記を行うはずが・・・
さて、お次は問題の別荘。
この別荘もお金と同じ割合で分割します。
不動産登記簿には「妻が4分の2」「長男・次男がそれぞれ4分の1ずつ」の共有持分として相続登記を行います。
しかし、この相続登記手続は結構面倒で、価値のない別荘(不動産)だとしても、そこそこお金がかかってしまうため、ほったらかしとなります。
負動産はだんだんと念を溜め込んできます
ほったらかすとどうなるの?
日常生活に何の問題も無いです。(・・・今は)
固定資産税も誰か(だいたい妻)が払っているけれどそんなに高いわけでもないので、お父さんから相続した現金もあり、市役所にて口座引落処理をしてそのままとなります。
月日は流れ、長男も次男も結婚して子どもがそれぞれ2人産まれました。 その頃、亡父の妻が亡くなりました。
妻が亡くなったとき、その相続で揉めて長男と次男は疎遠になっていました。 (もちろん、この時も別荘はほったらかし!)
しばらくして、亡父をよく知る友人から「別荘が風化して倒れそうな状態」と長男のところへ連絡が入りました。
このままでは近隣にも被害が出る恐れが・・・。
さあ、大変!
そこで別荘を取り壊そうと思ったら、相続人全員の印鑑が必要とのこと。
印鑑が貰えないからと言って次男の許可無く勝手に壊してはダメ(共有財産)。
もうタダ同然でも良いから、土地ごと売ってしまいたいけれど、次男の許可が必要なので、これもダメ(共有財産)。
さて、いよいよ相談しようと次男の連絡先を調べていると、なぜか次男が急逝!
次男には妻と子ども2人がいるけれど「面倒はごめんだ」と無視される。
長男が別荘の様子を見に行くと、そこにはほったらかしにされ草だらけの中に静かに建つ朽ち果てそうな別荘は、まるで怨念が渦巻いているような負のオーラを放っていました。
怖~い
しかし、どうしようもできないことが判明した長男はもう何ともできないので、やっぱり別荘はほったらかしにします。
別荘は孫にまでやってくる
月日は流れて、長男の子供達も結婚して子どもが2人ずつ産まれました。
しばらくして別荘のことを気に掛けながらも長男が亡くなりました。
妻と子ども2人が父親の財産の相続人となり、別荘も数次相続されました。
(登記簿上は子供から見ておじいちゃんの名義のままだけど、法律上父親が所有していた別荘の持分は妻と子ども2人へと移る)
遺産分割が終わっていないにもかかわらず相続人が亡くなり、次の相続が発生した状態。
今回の件では、別荘が相続登記されていない状態で長男が亡くなったため、(別荘の所有者からみて)孫へ数次相続がなされた。
さて、問題です。
最初に登場した亡父の別荘の所有権を持つ方は、現在何人いるでしょうか。
答えは、
6人!(判明してる分だけで)
法改正で相続不動産の登記が義務づけられます。
先程の事例を分かりやすく図にしてみました。
❌が付いている方は既に亡くなっています。
死亡日は上の世代から順番とします。
上記の「なんとかしなくっちゃ」坊やが、おじいちゃんの別荘を「なんとかしなくっちゃ!」と思っていても、相続人は自分を含めて6人となっています。
さらに、長男が生きていた頃から既に次男家族とは疎遠となっているため、次男家族がどうなっているか分からない状態です。
最初別荘の相続人は3人だったけれど、倍の6人に増えてるよ!
次男の家族の状況によってはさらに相続人が増えてしまっていることも!
この時初めて相続人は、ほったらかしにされた負動産の恐ろしさを知ることになるのです。
3世代、4世代と世代を重ねるほどねずみ算のように相続人が増えていきますので、所有者が所在不明となり、整備も売却もさらに難しくなります。
相続不動産の登記の義務化
そこで、民法の一部が改正され、相続登記が義務化されることになりました。
不動産の相続が発生した時点で相続人が登記を行えば、このように相続人がねずみ算的に増えるのを抑制でき、きちんと不動産の管理がなされるようになります。
【所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し】
www.moj.go.jp
不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以 内に相続登記の申請をすることを義務付ける(正当な理由のない 申請漏れには過料の罰則あり)
所有者不明土地関連法は令和5年4月より順次施行されます。
罰則付きなので必ず手続をしなければならないんだよ
おわりに
相続についてざっと綴ってきましたが、今回の記事はなんだかややこしい話だったと思います。。
最近終活が流行っていますが、生前にきちんと財産整理をして取り決めておきたいところですね。
例えば、
「別荘を引き継ぐものには現金1,000万円を他の相続人より多く相続する」などの遺言書があれば、別荘はスムーズに相続がなされたでしょう。
財産を書き出して、どうするかをきちんと整理しておくことをお勧めします。
終活に向けての財産整理、身辺整理なら、エンディングノートがおすすめ♪
エンディングノートってなに?
って方は下記のひさまぁさんの記事を参考にしてみてね♪
若い人こそ知ってほしい!エンディングノートのメリット。書き方や内容は?
hisahiko.com
前述のような不動産や相続税の基礎控除額を上回るような財産や株券、最近流行している暗号資産などがある場合、相続で揉める可能性があります。
しっかりと相続について検討・相談しておくことで残される遺族による無用な争いが避けられるでしょう。
基礎控除額は【3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数】となります。 総資産額が基礎控除額を上回ると相続税が発生する可能性があります。
相続税が発生するような資産を残す(残した)場合は税金のプロである税理士さんに確認してみましょう。
え、税理士さんをどう選んだら良いかって?
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